福祥の門|思考整理がしたいだけで絵にあんまり興味がなかったのに夢中になった

「今だからいうけど、最初は絵にはあんまり興味なかったんだよね。
気がついたら絵に夢中になっていたけど、笑。
門間さんに思考整理を手伝ってもらいたい、それが、きっかけだった」
オーダーが完成した後に笑顔で言われ、笑ってしまいました。
Sさんは、10年以上教育業界で活躍してきた人。教育者らしい穏やかな雰囲気。物柔らかな声。安心感を与える物腰。子供たちが信頼を寄せて心を開く様子が目に浮かびます。

そう、確かに、Sさんのオーダーセッションで思考整理を手伝ってきました。なんでビジョンクリエイター/画家が?と、これを読んでいる人の頭の中で、はてなマークが???と、並びそうです。でも、10年以上クライアントと接してきて、《言葉にならない思考を整理できる》のがわかってきました。例えば、世界観。これは、言葉では全部を言い表せません。

世界観について、『イシューからはじめよ』(安宅和人著)では、「情報一つ一つの重さや重層性、関連性を認識」すること、「つかんだ情報を『自分なりに感じる』」ことが重要だ。と、書いてあります。自分なりに感じる、と一言でいえますが、それは感じて言葉に表すまでのプロセスのこと。例えば、情報の重さだけでも、重さを感じようと感性を働かせる→図式やイメージにできる→言葉にできる、という一つの流れが必要です。

では、感性を働かせるとは、どういうことでしょうか。それは、重みを「こんな感じ」「これくらい」というイメージで捉えることが始まりです。すごくいい加減な感じがしますよね?でも、これが大事なのです。Sさんの思考整理の目的は、オリジナルの企画作りでした。オリジナルの企画は今の仕事と比べてどんな重さなのか。いろんな対話を繰り返すうちに、「お金を稼ぐよりも社会貢献として人と関わる企画」「個人の才能が目覚めることで、結果的に資格や試験点数が取れる教育」など、Sさんの世界観が浮かび上がってきました。

お金と社会貢献の重みの差。才能が目覚めることと点数が取れることの重みの差。その違いを感じることで、優先順位が自然に思い描け、自分がどう在りたいかが見えてきます。

それと同時に、Sさんがほしいと思っていた絵は、「鮮やかなオレンジ色と青がカッコよくていい」から、「渋いオレンジ色にモスグリーン」などと、移り変わって行きました。鮮やかな色から、渋い色へ。アースカラーに変わっていったのです。アースカラーは大地や植物、空や海など、自然物の色。気分を落ち着かせ、安心や安定を与えます。まさに、社会貢献や、人を全人的に育てる価値観にぴったりです。

色の移り変わりと思考が整理されていくのとが、セッションの中で溶け合うように進んでいきました。そして、この頃には、Sさんはすっかり絵に夢中になっていたのです。Sさんの頭の中でも色の移り変わりと思考整理とが溶け合っていたのでしょう。

そして、光を感じるイエローや、黄昏を感じる紫が加わりました。さらに変化の中で「変化を味わい続けることで、イキイキと幸せに生きる」シンボルが形になって現れてきました。

「最初はあまり興味がなかったのに、途中から絵の変化にワクワクしてきて、のめり込んでいました。自分にぴったりの絵が出来上って大満足です」とSさんはユーモラスにいって、笑いました。

Sさんは、オーダープロセスの途中から企画提案や試験的なセミナーを始めて、仕事をしながらさらに活動の領域を広げています。

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