「何かを提供できなければダメだ」
「提供できなければお金が入ってこないでしょ」
「お金が入ってくれば、豊かになれる」
それが当たり前でしょ、という空気を感じることがあります。
でも、そうなのだろうか?
お金は豊かになる手段。お金を持っていて「豊かだ」と感じる人がいれば「まだ足りない」と思う人もいます。さまざまな交流会や勉強会、そして、オーダー絵画を描く中で、さまざまな人と出会って感じたのは、意外と「豊かで満たされている」という人が少ないこと。
一方、興味深いことに、アーティストは豊かで満たされている人が多いのです。そういう人たちは、「私、満たされています」とはいいませんが、キラキラした目や笑顔に溢れています。中には貧乏な人もいたりします。でも「今、お金がなくて困っているだけど」言いながらも深刻そうでない人が多い。本人の代わりに周りが心配したりします、笑。
オーダー絵画を描き始める約10年前から
「この違いはなんだろう?」という疑問がありました。
何しろ、「いやぁ、全く売れない絵をたくさん描いちゃった」照れ臭そうに言いながら、ニコニコ幸福そうなアーティストがいる一方、世間が羨む生活をしていながら「毎日が苦しい」人もいるのです。
その疑問は、オーダー絵画のプロセスで解けていきました。
豊かさは、与えようが与えまいが、自分に価値があると感じるのが鍵なのです。
「周りが」
「時代が」
合わせるのは大事ですが、もっと大切なのは、<自分が生きているだけでいい>と感じる時間。
「起業ブームと言われるけど、自分は会社員が好きなのだ」自分の個性を認めたら嬉しくなった人。
「休み時間に周りに合わせない時があっていい」思うだけで心からほっとしたというプロデューサー。
毎日1分1秒を削り出すように通勤していたのを、回り道をして散歩をしたら「人生が変わった」院長夫人。
そしてこの【小さな変化】が、毎日を変えていくのです。
「起業家の友人と話して焦りを感じなくなり、素敵な結婚相手も見つかった」
「楽しい人間関係が増えた。」
「医院の運営がスムーズになった」
自分には価値がある。いるだけで価値がある。そう感じることが豊かさにつながります。
人は皆、一人ひとり自分の心の世界を持っています。
でも、大人になると「何か提供しなければ」「貢献しなければ」「人に合わせなければ」「時代に合わせなければ」という外の世界に心の世界がだんだんと奥底に押しやられてしまうことがあります。
心の世界を押しやってしまうと、まるで傾いたシーソーのようにバランスが取れません。価値の提供や貢献をいくら繰り返しても「豊かだ」と感じることが難しくなるのです。
アーティストに滲み出る豊かさを感じられるのは、心の世界と外の世界の両方を見つめるからだと、考えらます。多くのアーティストは、無意識にそれをやっているのだ、という論文もあります。
アーティストが無意識におこなっている内と外のバランスをとる感じ方。それを、オーダープロセスの中で体感するのが私のオーダー絵画なのだ、と、学術的な研究をはじめて見えてきました。それはまた、別の機会にお話しできればと思います。