内と外からの癒し|心身が育まれるサロンに飾る絵 長年の夢を実現したNさんの場合

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Nさんのサロンにて『内と外からの癒し』

前回は、【絵を見る人が絵を育てる】という記事を書きました。

今回取り上げるのは、【描かれる間に絵は育つ】といった、クライアントのNさんです。

完成していく間に、少しずつ変化していくオーダー絵画の画像を見て、「絵って育つのだね」と言いました。

その作品は、まるで、年輪が積み重なるうちに形が変わるように、絵の具が重なり合ううちに、絵が変化しました。絵に向かう時に、Nさんを思い浮かべながら描いていたら自然にそうなったのです。

「幼少時からのアトピーで、大人になってからは全身性のひどいアトピーの時期を何度か経験する中で、アトピーを治したい一心で、身体や心の問題をたくさん学んで‥‥そして、少しずつ克服していく中で、治療される側から治療する側になりました。辛く大変だったけれど、その時間があって今がある。過去や今をあるがままに受け取る良さを体感してもらいたい」Nさんは、教えてくれました。

さまざまな体験が積み重なり、今、自分がどうしてもやりたかったサロンを始める。その壁に飾る作品‥‥、そう思い浮かべたら、絵の具を削ったり、削った上に描いたり繰り返して作品を作っていく技法が自然に浮かんできました。2012年の頃です。

その技法で、本画を描き始めると、ピンクからベージュ、白などの色が、繊細に入り交じるようになりました。色が重なる中で、画面に厚みが増していきました。

そうして、数ヶ月かけて少しずつ変化していくのを見て「絵って育つのだね」とNさんが言ったのです。

絵が育つ。
人が子供から大人へと変化するような長い時間を感じさせる言葉です。
このことを、美術の世界では「時間性を感じさせる」と言ったりしますが、「絵が育つ」という方が、わかりやすいかもしれません。

題名;内と外からの癒し

例えば、今日のスペイン美術を代表する作家アントニオ・ロペスは、10年をかけてもなお手を入れ続けるほど制作期間の長いものがある絵画を描きます。実際に彼の絵は、時間性を強く感じさせると言われます。

でも、時間性という抽象的な言葉よりも、育つ、の方が直感的にわかりやすい。一つの存在を思い浮かべることができるからです。ロペスも「流行に興味はない。スペイン美術は昔から自分の眼と手の仕事だった。大切なのは感動であり、その存在感」と述べています。

育つような感覚を大切に描いた絵が飾られたNさんのサロンの名前は、レスピラーレ。呼吸という意味です。

そして今、Nさんのサロンには、魂の望む仕事への第一歩を踏み出した人、永年の夢だった海外へ飛び出していった人、楽しく学びを深める対象を見つけ、生き生きと輝き始めた人など‥‥、まさに、心身が日々育つ人たちが訪れています。

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