勝ち負けにこだわらないと自分らしく勝てる|「観る」ことで内省する絵画

/ カテゴリー: リビングに飾る絵
題名:水路

勝ちたいのに上手くいかない、という人が絵を依頼することがあります。
すっかり疲れてしまった、どうしたらいいかわからない、という場合もあります。

「勝ちたいから絵がほしい」とは、絵のオーダーの理由としては、ずいぶん変わっていると思います。でも、門間由佳に絵を頼む理由としては、珍しくありません。観ることで内省する絵画を描いているからです。

「勝ちたい」という気持ち。これは、しっかりと自分の考えや行動をかえりみないと、空回りになります。

あなたは、本当に、何に対して勝つ必要があるのか?

【自分の勝ち】がわからなければ、たとえ勝っても虚しくなるだけです。

私は20代のころ、絵と会社員のダブルワークの実現を目指して、頑張って手に入れた後、満足していない自分に気づきました。そして、絵一本で生きていくことを決意した30代で、「これが【自分の勝ち】だ」と体感しました。でも、当初は人から「絵だけじゃ食えるようにならない」「別の仕事をした方がいい」と言われるたびに揺らぎました。善意のアドバイスや、多くの人がやっていることでしたので、「自分は間違っているのか?」と悩みました。

でも、他人の勝ち負けの基準は、自分の勝ち負けに関係ないのです。
起きた出来事に対し、自分の考えで向き合い、行動をして、自分だけの答えを創る、【自分の勝ち】を、一つひとつ積み重ねるのです。そうすることで、いつの間にか「才能がある」などと言われるようになります。単なる勝ち負けではない世界を拓くことができるようになるのです。繰り返して事実と正面から向き合うため、自主性や主体性を伸ばして知性を高める効果もあります。
だから、勝ち負けにこだわる前に、

不要な勝ち負けにこだわっていないか?

常に自分に問いかけることが一番大事なのです。
この問いを怠った途端、簡単に他人の勝ち負けの基準に巻き込まれていきます。

「勝ち負けにこだわる」のは、大切です。
負けたくない、勝ちたい!と思うから、人は強くなれます。

でも、一歩間違えると自分を見失ってしまいます。
しかし、自分は一体間違えているのかいないのか?これは、本当のところ、自分の心に聞いてみるしかありません。

例えば、

「友達、同僚、部下や上司に負けたくない」
「会社を辞めて負け犬と言われたくない」
「会社を潰したくない」

と頑張るのが張り合いなる人は、自分の勝ち負けと行動が合致しています。
一方、頑張れば頑張るほど心身ともにしんどくなって楽しくない、としたら、不要な勝ち負けにこだわっている可能性が高いです。しかも、自分を押し殺すことで成果を上げる真面目な人ほど、不要な勝ち負けにこだわっていることに気がつかないので、注意が必要です。

会計士を辞めたKさんも、そうでした。取引先からも信頼され、「自分で言うのもなんですが、真面目で業績もよかったです」と笑いました。「軌道に乗っている会計士を辞めて、サロンを開くのは、もったいない、と思う人が多いかもしれません。実際、辞める時にそう言われました。でも、会計士でいくら業績を伸ばしても、本当に心からの満足は得られませんでした。」

Kさんは、オーダー絵画を依頼したとき、スピリチュアルサロンを開く起業準備をしていました。「会計士を辞めて、『不要な勝ち負けにこだわらない』と充実感が全く変わると実感していても、小さな日常のことはついつい、『あの人がいいというから頑張ろう』とか、自分を殺して真面目に受けて、やりたくない物事を作ってしまいます。長年身についたものは、小さな形で残ってしまい、なかなかなくならないですね」

「自分を押し殺すことで自分にとっての勝ち、が、わからないとか、わかってもつい競ってしまうことがよくある中で、自覚できることは、素晴らしいことですよ。

不要なものを掴もうとする自分に気がついたら、すぐ手放せるイメージがあるといいですね。心の中に水路があって、いらないものに気がついたら推し流してくれるようなイメージです」

「手放す、そして、流す、とはいいですね!」Kさんは微笑みました。

Kさんの水路、は、心の奥深くという深さを感じる縦長。濃いアースカラーの画面に、横のラインで象徴的に描きました。

今から10年ほど前のことです。
Kさんはその後結婚して、地方へ移住。自分らしい世界を拓き続けています。

題名:水路

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