「『チャンスの神様は前髪で掴め』が座右の銘なんです。これだという時はすぐに行動するとどうにかなるし、かえって大変なことをこなしていくと自分が大きくなります。やると決めたら最後までやっていくと、ピンチの時に不思議と解決策が浮かびます。助けてくれる人がどこからともなく現れるし、人間崖っぷちに立つと不思議と底力が出ます。」
0から創業して、400店舗以上のチェーン店(2018年一月現在)を築いた旦那様をサポートしてきた加藤英子さんの言葉です。
その人生哲学はどこから来るのか、バランス感覚と直観を軸にお話を伺いました。
(2018年1月ヴェッキオ:オーダーの前で)
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◆◆◆<大勢に囲まれて育った子供時代と、「人と違っても良い」と、思った道を選んだ大学時代>◆◆◆
門間:最初に、子供時代からお願いします。
加藤:商売をやっている家でした。
自宅にお手伝いさんや従業員が何人か一緒に住み込んでいました。
生まれた時からたくさんの人間のなかで育ったんですね。
皆さんに案外可愛がられて育ったんだと思います。
そういう中で絶えず人を観察していました。
みんなが仲良く和気藹々とできるような中庸が役目でした。
学校は、中高一貫の女子校でした。
当時は良妻賢母になる教育がよいとされていました。
自動的に短大に進めて、100パーセントの就職率でした。
中学から6年間一緒だった友達の大半が、その道を行きました。
でも嫌で共学の大学を受験しました。
「どうして大変な道を行くのか」と友達に聞かれましたが、
「行きたい道があるからそうするんだ」と答えました。
門間:大勢の人の中で育つ中でバランス感覚が磨かれたことと、
学生時代から自分を信じて行動していたことが伝わります。
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個人的なことなのでWEB上では公開できないのですが、
会場では、大変エキサイティングな結婚のお話を伺いました。
「直感を信じてトライする、チャレンジする。
常識で考えたら絶対見えてこないもの。
自分で物事を判断して考えて行動するから生まれてくるものがある」
それが伝わってきました。
同じく個人的習慣まで噛み砕いてお話いただいたのでWEBでは公開できないのですが、
旦那様が、0から創業して400店舗以上のチェーン店になった成功の土台は、
「朝早くから起きて仕事をするなど<大量行動の習慣>だ」とお聞きしました。
その後、経営を支えるバランス感覚や、子育て論を経ていく中での限界の超え方などをお話いただきました。
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加藤:実は、男性の方が女性よりちょっと気弱な部分があるとか、
本当は男性の方がママに甘えたいみたいなのが、いくつになってもあると思います。
ママに愛されて励まされるように、小さな承認の積み重ねが男の人は大事なんです。
だから、小さいことでも気を使うのを大切にしています。
違う家で育った二人だし、知らないことだらけなので少しずつ合わせていった感じです。
考えられないくらい自分と全然違うし、アクティブな男でしたから、
最初のうちは毎日毎日よく話していました。
だから、どういうのが好きで嫌なのか、わかってきました。
門間:従属ではなくて、人として優しく包んであげる、、、、
仕事がうまく回っていくように働きやすくしてあげる気遣いを感じます。
加藤:経営者は外に出ると孤独で相談する人もいないのです。
家庭がホッとできる心を許す場であるべきなのがだんだんとわかるようになりました。
家に帰ってきたら、もう帰ってきてくれてありがとうくらいの気持ちで自分も子供も迎えるようになりました。
サポートを何気なくするのがいいと思っています。
門間:それは、会社のことに全神経集中できますね。
一日中、会社のことを考えていられる環境が、急成長を支えたと感じます。
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◆◆◆<イクメンから同志への変化と行動を支援する子育て論>◆◆◆
加藤:最初の子供で慣れないとき、あらゆる子育てを一緒にしてくれました。イクメンの走りだと思います。
その後、4人の子供に恵まれる中で子育てに慣れていくと、私が子育てで主人が仕事と、だんだん、お互いの役割を果たす同志みたいになっていきました。
子育てで忙しくなると同じ頃に、主人は会社が成長し人が増えたりシステムを作ったり、、、、どんどん忙しくなっていきました。
でも、四人とも息子で強い統率を取らないとどうにもいうことを聞かなかったので
お父さんが一番偉い、一番怖い存在として、躾や教育に関わってくれました。
だから、子供達はどんな話をする時も、今でも敬語で主人と話しています。
そんな怖くて偉い父親ですが、実は、子供のことがすごい好きなんだと思います。
躾や教育などいろいろなところで関わろうとしてくれます。
私も主人もお友達を呼んだり一緒に行動したりして、
子供達が家族以外の人とたくさん関われるようにしてきました。
振り返ってみれば、自分が子供の頃に体験した環境を与えていたのだと思います。
同時に、1、2歳の頃から早く独り立ちして一人前の人間になるにはどうしたらいいか、
時々に応じて教え込むように育ててきました。
主人も、可愛がっているけど、厳しいです。
自分が何をやりたいか考えられる人になりなさい、と小さい頃からいっていました。
そのかわりに、やりたいことはできるようにいつも支援していました。
例えば、海外留学に興味を持った時は、背中押してあげたので、
子供たちも出やすかったのではないかと思います。
私たち夫婦とも、人間として世に出て行くには、外でいろいろな困難にぶち当たったり、人に揉まれて失敗をしたり、はじめての場でいろんな勉強をすることが必要で、なるべく早い段階でそれらを経験することが大事だと思っています。
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◆◆◆<行動してステップアップしていく中で自分を超えていく>◆◆◆
加藤:右も左もわからない時に人の経験や意見を聞くのはいいけれども
これだな、と分かったらいつまでも聞く必要はないと思います。
どんどんトライしていき、その都度改善していけば良いと思います。
ただ人の話を聞くだけでは何も生まれません。
門間:セミナーが流行っていますが、重要なのは行動ということですね。
加藤:私自身は22、3歳の時に誘われてセミナーに行ったことがあります。
自分の限界を超えるのを体験させるようなプログラムで、今で言う自己啓発という感じでした。
門間:若い時に限界を超える方法はこれだな、と学んだのですね。
そして、プログラムを超える実践を積み重ねた。
加藤:言われてみれば、本当にそうです。
毎日もう限界と思っている上に、夫や子供逹のこと、その他いろいろな問題が一度に押し寄せてくる。それをやらざるおえない状況でした。
だから例えば、一つのことをやる時間でこれをやれば次につながり時間短縮できる、
と頭を使って考えながら行動を変え、時間的や物理的に限界を超えるための努力が大事だと思ってやってきました。
できないとはあまり言わずに行動していったら、限界値がどんどん上がって行きました。
そうして、限界が限界じゃなかったんだ、と気づいたんです。限界はないと思いました。
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門間:着物の所作の先生のプロになるきっかけも、普通人の限界を超えているので、お話いただけますか?
加藤:よく学校や冠婚葬祭でお着物を着る機会があると思うんですけど
四人の息子のうちの誰かに卒業式とか入学式があっても、ほかに幼子が3人もいたので着付けにいったり髪の毛をやりに行く時間がありませんでした。
でも着物を着たいと思っていました。
だから、子供が留学先の高校の卒業式に出席するとき、日本人だから絶対着物を着ようと考えつつ、忙しさに日が過ぎてとうとう二ヶ月くらい前になってしまい、一度も自分で着たこともないのであきらめていたのですが、直前になってやっぱり着ようと決めました。
すぐに近所の着物着付け教室を訊ねたのですが「着付けは2年かかります」と門前払いでした。諦めようかと思いましたが昔は着るのに2年もかからなかった筈だ、ほかのレクチャーも色々プログラムされているのだろう、と気がつきました。
着物を着たいだけと考えたら、お友達のご主人が邦楽家なのに気がつきました。
友人に尋ねると、事情を察して習った先生を紹介してくれたので、うちに来てもらって母の残した古い着物を着ることしました。
足袋と着物と帯くらいしかわからなかったのですが、先生に二回習いました。
習う以外に、自分で写メを撮って先生にアドバイスいただいたり、復習して覚えていきました。
そして、アメリカで無事着物を着ることができました。
珍しいからかみんなが凄いと褒めてくれて、やっぱりよかったとしみじみ思いました。
息子は恥ずかしいから「着ないで」と言いましたが、内緒で式の親の席に座ってたんです。
そしたら、通るときに、「アッ」て顔をしましたが「着ちゃったもんね」と(笑)
今では、息子たちにも着物の良さを伝えています。
あとで「大変だったでしょ」と、いろんな人に言われましたが、
「風呂敷一つに包んでスーツケースにポンと入れて持って行っただけだから、すごい楽だったよ」と答えました。
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◆◆◆<着物を通じて日本文化の発信を>◆◆◆
加藤:それから少し時間が空きましたが、2年かかるというならば学んでみようとあらためて一から習っています。その間に、デンマークでお友達が結婚式を挙げるというので着物を持って行きました。
昼間は普通のワンピースで夜の食事の時に着物にきがえたら、みんなの見る目が違いました。
とても喜んでくださったのです。
絶対洋服だったら着ない色とか持たない色が、着物だと案外いい時があります。
洋服とは面積もかたちも違うので、印象もガラリと変わるのです。
門間:所作の先生をするにあたり、これからの夢などをお聞かせください。
加藤:海外に行くことも多いですし、息子たちが海外の学校に行っていることもあり、外国人の方に会う事も多いです。出て行く場で着物姿を喜んでいただいたり、着物を通じて日本のことを伝えられたらと思っています。
偽物の日本みたいなものがまだ海外に多いと感じます。
本当の日本人の気質や日本を紹介をしたいので、もっと勉強して和の文化を外に広げていきたいと思います。
門間:具体的にご自宅でイベントの主催等お考えと聞きました。
加藤:はい、考えていますし、コラボもいいと思っています。
例えば、私の友人で茶室をもっている方がいらしてエアビーなどで外国人を呼んでお茶を立てたりしているので、この間コラボをしました。
着物や所作を教えて、お茶を立てるなど和の文化を紹介して、着物を着た散策イベントなどもいいと思います。
着物を通じていろいろなアドバイスができたらいいなと思っています。
門間:最後になぜ所作の先生に注目したのかを教えてください。
加藤:着物を着て大股で歩く若い女性をよく見かけますが、美しさが半減してしまいます。
私自身、着てみて着物を着るには洋服と違う立ち振る舞いが必要なのに気がつきました。
それに、所作の先生は今少ないので、これから必要とされると思いました。
門間:着眼点が戦略的で社長夫人だと感じます。
普通だったらみんな着付けをやっているから着付けを先に、と思うのですが視点がちがう。
全体のバランスを見つつ自分で選んで行動する、加藤さんの生き方にブレがないのがあらためて伝わりました。
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