出世コースを極めるよりも大切なものを見出すために

春m

「男性の依頼は少ないと思いますが、ぜひお願いします」

ある日、メールが届きました。確かに、その当時は女性の申し込みが8割以上でした。きっと、誰かの知人に違いない、と確認すると、絵のオーナーの知り合いだとわかりました。何歳なのか、職業は何か、さらに聞くこともできますが、あえて、知らないまま会うことにしました。

文面全体から滲み出る真面目な空気で十分伝わってきたからです。

お会いすると、予想通りきちっとした空気が漂う男性でした。職業は医師。心臓外科医です。繊細で優しい面持ちと、心臓外科という細かい仕事がFさんの人間像にぴたりとハマりました。

それに、「努力じゃなくて、医者一族の一員、という流れに任せてきたら、いつの間にか医者になっちゃったのです」と、ちょっと歯に噛んだように話すFさんから、ユーモアも伝わってきました。きっと誰もがFさんに安心する‥‥。白衣のFさんと患者と和やかに話す情景が浮かびました。

「でも、流れに任せる人生でよかったのか、最近わからなくなりました。だから医者は続けるにせよ、今の職場を離れようかと考えています。どうやら、人生の節目にさしかかっているな、と感じて、『そうだ、今が、門間さんに描いてもらうタイミングだ』と申し込みました」と言って、Fさんはニコニコしました。

まるで人生相談かコーチングに来たようです。しかし、私にはよくある対話でした。実際、Fさんの知人も、人生の節目に絵を依頼しました。そして、自分を振り返って、土台を踏み固めた後、次のステージへと踏み出し、成長していきました。

節目を迎えた時は、「今までに意味があった」と心から体感するのが大切です。「意味があったかわからない」まま先に行こうとするのは、ぐらぐらした土台に大きな荷物を積み上げようとするようなもの。うまくいきません。

だから、Fさんが、流れのままに進む中で、得てきたものを丁寧に振り返っていきました。最先端の技術を吸収できる。ありのままで人に慕われる。生死に何度も立ち会って命の尊さを知る。「自分は外科医になってよかった」と再確認することができたとき、Fさんは充実感にあふれていました。

そして自然と「意味があったことを踏まえて、さらに、自分の殻を破りたい。もっと、自分らしい人生に舵を取りたい」と、新しい想いが浮かび上がってきました。

だから、【流れを作る生き方へと変わる】のが、絵のテーマになりました。 絵もしっかりした土台が大事。Fさんの優しさを映して、「平和、公平」を表す緑色から始まりました。

その頃、Fさんは、「流れに乗ってきたようにうまくいかなくてイライラしています。自分で一つ一つ決めるって、思ったより大変なのですね」と、弱音を吐きつつも、真面目に模索を続けていました。そういう時は、無意識が働き続けています。また、絵は言葉にできない気持ちを触発します。だから、描いている最中に、クライアントが閃くことがあります。F さんにも、それは、突然やってきました。セッションで、絵を眺めていたFさんが、「今‥‥心臓が見えてきました!」と叫んだのです。

「ハート型‥‥心臓を入れてください。それが【僕の絵】だ、と、今、はっきりわかりました。そして、迷いながらも『自分で選び取る』って、こんなに嬉しいんですね!!」

そして、「今までは、最新治療に突き進むエリートコースを極めてきました。でも、本当に選びたいのは、患者さんに寄り添うことだとわかりました」と本来のあり方を掴みました。

 

春m

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