
今、世界の諸文明の衝突が後を絶たない状況です。
これを一人の人と向き合う、オーダー画家の視点で文明を文化のレベルへ、そして、人と人とのレベルへと小さくちいさく砕いていく。すると、国家同士でも、人間同士とその考え方でも、同じような衝突があると、感じます。
ネットを通じて世界中の人たちをつなげることが特徴のSNSは、その一方、人々を分断する存在となっています。ツイッターやフェイスブックなどSNSのさまざまな投稿を見ても、個人個人やその社会が生み出した文化をめぐり、つながり合うこともあれば、衝突をすることもある。
「文明と文明との衝突が対立の主要な軸である。特に文明と文明が接する断層線(フォルト・ライン)での紛争が激化しやすい」。1996年に、アメリカ政治学者のサミュエル・ハンチントンが、著書『文明の衝突』で指摘しました。今日の状況を振り返って読むと、まるで予言のようです。
残念ながら、文明と文明のような、大きな衝突を一人の画家はどうすることもできません。しかし、オーダー絵画を通じて、全く違う価値観を共有し、衝突でなく新しい調和を見出すことができると体感しています。
オーダーメイド絵画の例でいうと、画家とクライアントが衝突するケースもあります。例えば、「『以前、自分だったらどうなるかな、と思って頼んだら、思った以上に作家のカラーが強かった。」と打ち明けられることがあります。そして、「門間さんは寄り添ってくれると聞いたから』から、依頼されるとき、衝突ではなく、調和できるのだな、という期待を感じます。
オーダーメイドに自分のカラーを全面に出すのか、寄り添うのか、は、画家の価値観の違いであり、良し悪しではありません。私はクライアントに寄り添うことで、自分でも思いがけない何かが創り出されることに感動します。だから、寄り添って描くことは喜びであり、門間のオーダーメイドのスタイルなのです。
治療院の院長、Aさんは、クライアントに寄り添うことを大切にする人でした。「治療者が悩んでいる患者に教える」のが業界の常識です。病院でも「先生の言葉をありがたくいただく」などいうことがあります。
でも、Aさんは、「不安を解消し、人間味豊かにいられるように、包み込む、奥から湧き出る」
寄り添う心をとても大切にしていました。実際、セッションで聞くと、想いのこもった珠玉の言葉ばかり。また、患者によって、施術のイメージやシナリオが変わると聞いて感動しました。
「Aさん、私も寄り添うタイプです。だから、描いた構想の絵に、解釈をどんどん重ねてください。話を聞いて絵にしたイメージが、変わっていいのです。奥から湧き出るものを、絵に込めていきましょう」
「提案してくれた絵なのに、変えてほしいと言っていいのですか?」
「そうして、絵が変わるのは、楽しいことです。なぜならば、2人での対話から、絵以外の新しい発見がたくさん見えてくるからです」
というと、Aさんはにっこりとほほ笑みました。そして、対話と絵のやりとりの末に、出来上がった絵に、こう言いました。
「セッションを進めながら、自分でも想像もしえなかった、素敵な絵を描いていただきました。
話していくうちにさらに自分の発想と共に、どんどん変わって自分の心の中や自分が目指しているイメージなどをよりわかりやすく鮮明に描いていただきました。これらはただ単に書けばいいわけではなく、話を聞いて自分の感性を受けとめ描き記してくれたとても貴重な絵になりました」
さらに、絵以外に得たものを言葉にしてくれました。


「そして、いざ完成してみたら「そうそうそうこれだ、これなのだ」と自分も納得のいく絵を作成していただきました。このような絵を描けるのは日本では門間さんだけなのだろうなと思います。絵を見るたび自分の心のあり方まで毎日自分に立ち返りながら日々前進していくのを実感しております。
今、自分は、誰もなしえない、自分にしかできない発想と感性の技術、サービスを作りたく日々精進しています。まだまだだなと思う日々ですが、門間さんと出会い、また新たな道、可能性が開けるかもしれないなと実感しました。」
