『白龍』|龍は昔から【独りであるとともに世界とつながっている】ことを伝えている

/ カテゴリー: 守護神の絵, 龍の絵
白龍:壁画デザイン画

人は、龍が大好きだ、しかも、時代や地域を超えて、龍が大好きなのだ‥‥と、2011年から龍を描くようになって気がつきました。

「龍を描いてほしい」とオーダー絵画を頼まれたのがきっかけで、紐解いていくと、龍に当てはまる文字が、中国の甲骨文字で伝えられているので、前1300年ごろまでに、龍というイメージが生まれていたと思われます。

龍は、もともと、雲や水、雷など、自然の森羅万象から人が感じるエネルギーをかたちづくったものです。龍と近しい蛇は、前6000年前からありました。

土器として伝えられているもので、龍と近しい蛇では、とぐろを巻く蛇の土偶、浮き彫り彫刻の蛇、彩色の蛇など 前6000年から世界で確認されています。日本でも、前3000年ごろの縄文時代に蛇の造形がある土器などが見つかっています。世界中で作られた蛇は、豊饒や、雨乞いなど、人が祈るためのシンボルだったのではと考えられています。

不思議なことに、日本では、弥生式土器で、蛇の造形があるものは見つかっていないそうです。そして、弥生時代後期に、龍と見られる図像が描かれた土器が 見つかりました。

中国では、戦国時代末期から漢にかけて、龍が皇帝のシンボルとなっていて、蛇は半豊穣の動物と見られるようになっていたと言われています。弥生時代に、その考え方が日本に入って 蛇がいったん消えたのでは、という説があります。

もともと、蛇も龍も、雨の恵みをもたらすと大切にされていました。時代的、地域的、政治的背景等で、善悪に別れることもありましたが、長い歴史から眺めると、蛇と龍は仲間と考えることができます。

こうした蛇や龍の成り立ちをさかのぼると、彼らを感じるのは、自然のエネルギーに気がつくことだとわかります。そこに、時代をへるごとに、いろんなストーリーが加わって、今の多様な龍のイメージが出来上がりました。

都市が発達して、ビルの谷間から空を眺めるような人口が増えました。田舎に暮らしていても、コンピュータや携帯電話が手放せない人も多い時代になりました。しかし、人はいきものであり、自然の一部です。気候変動が大きく、世界中で様々な災害が起こるようになった今、私たちは独りで生きているのではなく、この世界の中で生かされていることを、改めて感じる事が大切だと思います。

昔々の人たちが、雲や水、雷など、自然の森羅万象から人が感じるエネルギーをかたちづくった龍が、今でも世界中で愛され続けているのは、自然とのつながりを大切にしたい思いが源にある。そういう根源的なものだから、何千年もの間、世界中で愛されるのだと思うのです。

「10年以上、様々な想いをのせた龍を描き続けてくる中で、ただ一つの共通点は何か?時代をこえる意味は何か?」と問われれば、【つながり】だと私は答えます。そして、自分自身が自然とつながっていることから、自分と周囲の人や生き物とのつながりも感じて大切に生きようとする姿勢は、生きる土台だと思います。

栃木の旅館から依頼された白龍の絵は、デザイン画として依頼されました。壁画となって、木漏れ日が落ちる斜面に飾られます。自然のエネルギーから生まれた龍が、大自然の中で

飾られることで、【つながり】をよりいきいきと感じられることも考えて描きました。

約3メートル✖️9メートルの壁画になるので、人が、龍の大きさを楽しめるようにしよう。龍の顔からツノまで、2メートル近くの大きさになるようにしました。龍が、地面から勢いよく昇って顔を出すイメージです。巨大な龍の顔を見ると、龍は、こちらを向いているので、目と目が合います。

周りの木々と調和するように、青系の色で描きました。これからの紅葉の季節には、黄色や赤とのコントラストが美しい。冬は、葉の落ちた木々の中で青が浮かび上がるの。もしも、雪が降った時には、白い雪と青の対比が楽しめる。そして、春は生き生きとした若葉と青が響き合う‥‥、四季折々の変化によって、龍の佇まいも変化する壁画です。

この龍には、「生きるとはなんだろう」など、根源的なたくさんの想いが込められているので、少しずつ、紹介していきます。

機会をみて、完成した壁画も紹介します。

白龍:壁画デザイン画

関連記事