他者を手がかりに自分を知ることの効果を感じた社長Oさんの場合|構想画1→2:融合

他者を手がかりに自分を補強するのは、時代や職業にかかわらず、効果があります。

例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチは絵を描く技術を使って、他者のアイデアを足掛かりに考えていました。彼のスケッチブックは有名ですが、そこに描かれた機械図面を調べると、ダ・ヴィンチがすでにあったものを手がかりに、機械を発明していったことがわかります。

ビル・ゲイツは、他者のアイデアを自社の商品に取り込むのが得意な企業家として知られていますが、1994年のオークションでダ・ヴィンチのスケッチブック(レスター手稿)を落札した蒐集家としても有名です。

私自身も他者を手がかりに自分を知ることがどんなにありがたいことか‥‥、感じてきました。
私が描くオーダー絵画は、「特殊だ」とよく言われますが、実は、2010年から少しずつ、オーダー絵画を依頼されるようになり、それは「門間さんならできると思って」「門間さんに描いてほしい」と頼まれたことを、真摯に繰り返す中で生まれました。その後、大学教授に「特殊なオーダーだから、学会発表する社会的意義がある」と学会発表するようにもなりました。

だから、私がクライアントの手がかりを掴む役割をするセッションでは、聞き漏らしがないよう、全身全霊で聞きます。

セッションは、一般的に、会合や授業を行う期間(時間)を指します。最初は打ち合わせ (前もって相談すること)と言っていたのですが、「この時間自体にも絵と同等の価値がる。これ、打ち合わせじゃないでしょ」と言われることあまりにも多く、セッションと呼ぶようになりました。

セッションは、絵のクライアント自身と、オーダー絵画の内容の【両方】に、新しい発見やアイデアなどを生み出し進める時間です。徹底的に一人の人に焦点を合わせて聴くので、決まったフォーマットはありません。言葉を網の目のようにつなぐマインドマップだけ使います。自由度が高い方が、創造的なアイデアや発見につながるからです。

ビジョン、ミッションが固まり、会社のリ・ブランディングに取り組んでいるタイミングでオーダー絵画を依頼した会社の社長であるOさん。

すでに様々な専門家とリ・ブランディングを取り組んでいる最中なので、「門間の役割は何ですか?」尋ねると

「会社の社長として、深い部分にある自分が乗り越えるべき課題やテーマや囚われているものなどが見えたりすると嬉しい」という答えが返ってきました。

レオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチブックにビル・ゲイツが手がかりを求めたように、
芸術というビジネスからかけ離れた軸からも、リ・ブランディングを見つめて、新しいビジョンを発見をしたい。はっきりと伝わってきました。

ゴリラ研究の第一人者として有名な京都大学の山極寿一名誉教授は、「私はあえて自分と合わない人とタッグを組んできました。自分と合う人は着眼点や発想が似通ってしまい、新しいことに出会えないからです。自分と合わない人のほうが、まるっきり考えがちがうのでおもしろい」

私自身も、学会発表の手がかりをもらったのは、医学博士です。美術とはかけ離れた分野の専門家から、目からウロコのビジョンを得たのです。だから、Oさんの気持ちがよくわかりました。

Oさんは、もちろん、画家とセッションをするのは初めてで、受ける前は、「最初の2時間で一体どういうビジョンが湧くのか?」想像がつきませんでした。しかし、マインドマップを使いながら、色々と話すうちにOさんの個人的な体験から【特別な虹】が浮かびました。

誰でも、心の奥深くに特別なエピソードを持っています。自分は何にも浮かばないのでは?と心配する人はたくさんいますが、絵にしたいビジョンやイメージが見つからなかった人は一人もいません。

ビジョンクリエイターとして、見つかったものに対して、様々な捉え方を解説します。普段私たちは、忙しい日常生活をスムーズに送るために「虹」「空」など、言葉で捉えるだけですが、私が絵を描くときは言葉の背後にある象徴性を深く考えます。例えば、虹は、幸運の先ぶれや、転機、可能性、多様性など様々な解釈ができます。

虹が多様性を意味することに気づいたOさんは、「一人ひとりが主人公として自分を発揮している世界を、事業を通じて実現したい。その想いと虹が重なっているのだ」

虹が個人的にも公的にも大切なものであるという発見と、それが、構想画の発見(構想1)になりました。

Oさんは、セッションを8回のセッションをへるオーダー絵画を依頼していて、ビジョンはこの後、劇的に変化していきます。次に浮かんだビジョンは、虹の中にたつ3人の人でした(構想2)この経緯は、また別の記事でお伝えします。

「自分というフィルターを通して表現しているものが【他者(門間さん)】というフィルターを通じてフィードバックされることの効果を感じました。また、内側にあるイメージが外に出て、他者や社会を通じてのイメージとして確認していくことができると、自分のビジョン実現のスピードが上がるのではという気づきがありました」

『融合』のための構想1
『融合』のための構想2

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