今振り返ると、すでに11年以上前になります。
本格的なオーダー絵画を描き出して、間もない頃に出会った社長がいました。
今は紹介でオーダー絵画を描かせていただくのが多いのですが、Iさんとの出会いは偶然でした。
ちょっと興味を惹かれて申し込んだ経営セミナー。急な仕事で遅刻してしまって、慌てて会場の扉を開いたら、背広姿の年配男性の後ろ姿がたくさん飛び込んできました。女性がほぼいない‥‥、
場違いだから、このまま扉を閉めて帰ろうか?
いやいや、懇親会も申し込んでしまった。
せめて、ご飯を食べて帰ろう。
この決断が、Iさんとの出会いをもたらしてくれました。
懇親会で、出会い、その場で「門間さんにオーダー絵画を描いてもらおう」と言われたのです。
ちょっと話してみたら、私はオーダーメイド絵画を描き出したばかり。Iさんは、社長になったばかり。
お互い、新しい環境でなんとか何かを成し遂げたいと、チャレンジしているのを知って、心の距離が近づきました。2人ともコンフォートゾーンを広げるために、試行錯誤していたのです。
ビジネスパーソンが成長するためのキーワードの一つとして、コンフォートゾーン(Comfort Zone)があります。
コンフォートゾーンとは、「居心地のいい場所」。ビジネスにおいては、居心地のいいところに居続けると人は成長しないと言われています。自分が今持っているスキルなどで色々なことを処理できるので、成長する必要性をあまり感じないからです。
自分の今までのスキルやノウハウが、あまり通用しない未知の領域に踏み込むことで、必死に試行錯誤する中で成長していくのです。
だから、
コンフォートゾーンを抜け出す
コンフォートゾーンを広げる
が大事だとよくビジネスの世界で言われています。
同時に、今あるコンフォートゾーンも大切にする。これも重要なことです。
快適で安心安全な場所で、人は豊かな創造性を発揮できるという、感性的コミュニケーションの研究があります。
未知の体験をすることでの成長。
安心安全な場にいるからの成長。
2種類の成長を持つことで、メンタルも安定します。
コンフォートゾーンを大事にして成長するにはコツがあります。
そのコツの一つを、Iさんは無意識に実行していました。
懇親会の後、会社に案内してくれたIさん。
一つ一つのフロアを丁寧に案内する中で、社内に飾ってあるオレンジ色のインテリアフラワーに目をやり「奥さんが創ってくれた」とはにかんだ笑顔になりました。ビジネス上の挑戦は、温かい家庭の応援に支えられているのが伝わってきました。
人は、大事な人と気持ちをつなぎ合って安心感を共有する中で、予期しない創造性を発揮することができると感性的コミュニケーションの研究で言われています。
Iさんは、ビジネスで未知の世界に飛び込むと同時に、安心安全で快適な家庭を持っていて、仕事での癒しになっていました。
ビジョンクリエイターとしての私の頭に、コンフォートゾーンを表現する、オレンジ色主体の作品が浮かんできました。Iさんは、オレンジ色を見たら家庭を連想して、温かく安心した気持ちになるからです。
「わくわく」感を色彩で表現することに対する論文によると、日本人が一番わくわくを感じると選んだのが、赤色。2番目に、オレンジ。3番目に黄色でした。
実用日本語表現辞典によると、
「わくわく」とは、嬉しい・楽しいことが起きると期待して興奮し、心を躍らせ、心が落ち着かないさまを表現する言葉。
日本人一般のオレンジ色のイメージは、新しいことに挑戦するコンフォートゾーンを広げる活動。Iさんの個人的なオレンジ色のイメージは、コンフォートゾーン自体を感じる。
多くの人に会社の発展をイメージさせるオレンジ色は、新しく立ち上がった会社の応接スペースにぴったりの色でした。
飾ったあと、 「所長室があったかくなりました!」 「素敵な絵をありがとうございました(^-^) 社長室の空気が和らいで、入りやすくなりました(笑)」 と、言われると、Iさんが教えてくれました。
今現在では、支店を地方にもつ会社に成長しています。
額装にも、Iさんの特徴が現れているのですが、それはまた別の物語です。