「起業したので、変化を一緒に歩いてくれる、持ち歩ける絵がほしいのです。」と、Nさんが訪ねてきました。大きな瞳を見開いて、力強い声で話します。「手帳大で、お守りのように軽くしていただくことはできますか？」普通、絵は額に入れて飾ります。でも、Nさんの求めているのは、手帳と一緒に持ち歩ける絵。手帳にさりげなく重ねる。お守りのようにデスクにいつも出しておける。そういう絵です。

オーダーでは、できる限りチャレンジするのが信条です。画家としていろんな素材に触れてきたので、Nさんのイメージから、「軽い額装を手作りすることができますよ」と答えました。「嬉しい！ぜひ、お願いします」Nさんは歓声をあげました。
Nさんは、人材育成を通じた社会貢献をしたいという想いから、起業しました。熱意を込めて将来を語る姿勢に、成功するためにとことん努力するのだ、という強い意思が伝わってきました。

仕事について熱く語ったあと、「絵の内容はよろしくお願いします」と言って帰りましたが、感性豊かなNさんなら後でイメージが湧くに違いない、と思いました。
すると、予想通りに「門間さんに送金するとき、浮かびました！＜宇宙の光の中から龍が現れ、馬にその光の和を引き継ぎ、輝きを増して前進する＞というイメージです」とメールが届きました。

絵のイメージですが、ますます膨らんできました。安心して未来に進むために、母の支えが、力になるかな？と感じております。

光、母、親子、繋いでいく、無限、流れに任せる、共感、無償の愛、命、宇宙、ワクワク、今を生きるという、キイワード で、お願いします。

その後、さらにNさんから浮かんできた言葉も合わせ、ビジョンクリエイターとして構想を練り、まるで曼荼羅のように一枚に４つの世界が生まれてきました。

左手下。漆黒のなかに青龍が息づいて、必要なときに守り、また、前進を後押しします。シルバーの輝きをもつ玉を握りしめ、ゴールドの角（ツノ）とたてがみをもっています。右手下。羽をもったペガサスの親子が愛と信頼をもって支えます。左手上。富士山のような、自己を見つめ進んでいく決意、自己省察、発展の形。右手上。ゴールドやパールの輝きを含む光に満ちたベージュの世界。凛とした女性らしさを後押しします。

その４つをまたいで、斜めに横断して青から黄金の翼を持つ龍。全てを統合し、螺旋状にNさんの進化深化させていく原動力です。

その後、絵を描かせていただいている間に、Nさんから「門間さん、不思議なのですが「対決」という感覚がなくなりました・・・・全てが融合するような感覚を感じております。描いていただいている間に、成長しているんですね」とメールが届きました。イメージを鮮明にして進むから、絵とともに、クライアントが変化するのはよくあることです。Nさんも、オーダーの途中経過を楽しんでいました。

その後、「ついに絵が完成しました」と連絡した時、思いがけないことが起こりました。「先程、父が、天国に旅立ちました。」と、Nさんから返事が来たのです。

その夜、完成した絵をじっくり眺めていたら、いつでも温かくひっそりと見守るお父様が、小さく優しい光として右側上部に浮かんできました。光だから、朝に描こう。早朝に起きると、アトリエの壁をのぼっているてんとう虫に気づきました。まるでこれから描きこむ魂にシンクロしているように感じながら、ベランダのゴーヤの葉にそっとのせてやりました。そして、光を描きこみました。

お父様の光を描き加えた画像を送ると、「父の生き様である、強い意思・大らかさ、そして、若干の気の小ささ、全てを包み込む愛情を感じます。絵画に、父の息吹が吹き込まれた感じがします。ありがとうございます」と返ってきました。

完成した絵を届けると、
「有り難うございます！一緒に成長し、豊かさを分かち合う！絵画からのエネルギーを掌に感じて感動に包まれます。私の想いを絵にしていただき、ありがとうございます」と手に取り、目を輝かせ、手帖と重ねて大切にカバンに入れました。

そして程なく、Nさんからメールが届きました。

「作品に「喜び」という名をつけました。「喜び」は、力強く、大切に、私と一緒の時間を重ねて参ります」

その後、Nさんは、絵を持ち歩く時間を重ねていきました。

そして、目標にしていた本の出版を達成します。

内容は、経験をもとに書かれた、リーダーだからこそ頑張りすぎずに、リーダーこそが楽しんで自己成長していきましょう！ということを、経験から伝えるもの。Nさんらしさが本の端々に溢れていました。

そして、起業を成功させたあと、

「今は、キッチンに飾っております。龍がいつも私の傍で、一緒に上昇しながら、私の世界に輝きを放っている感じがします」と、

キッチンの壁に大切に飾られた写真が送られてきました。

環境を変え、新たな一歩を踏み出す時、さまざまなことが起こります。

予想外の壁にぶつかることもあります。でも、信念を軸に、楽しみを忘れずに耐えれば、進んでいけます。すると、想いもかけない世界が広がっていくのです。

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