宇宙創造|頭の中のちらかった断片が楽しく整理されたサロン主催のHさん

「ステイホームを経て、自分が本当は何を望んでいるのか、知りたくて」と依頼したのがHさんでした。コロナ禍になって初めての夏。オンラインでの申し込みでした。

オーダー絵画で自分が望んでいることを知る?そんなことができるの?そもそも、絵とどうつながるの?という疑問が次々わいてきそうですが、私にはよくある依頼です。

「コロナ禍が始まってサロンで対面セッションができなくなりました。そのため、オンラインでのセッションを始めました。すると、オンラインでもできたのです。対面でなければというのは思い込みでした。そして、『どうやら頭の中に不要な思い込みがたくさんある』と気付きました。『でも、何を手放せばいいのだろう?どう進んでいくのが最善の道だろう?』なんだか迷うようになりました。頭で考えているのと、心で望んでいることがズレているようです」

環境の変化に合わせて自分も変わると、思いがけない可能性に気づくことがあります。それは何歳でも起こります。やってみたらできた、という経験は大なり小なりだれでも持っている経験だと思います。
脳科学的にも、脳を形づくる神経とネットワークは固定したものではないことが知られています。環境に応じて変化できるのです。現在、脳は成長や学習、記憶などで柔軟に変わるのがわかっています。

だからHさんも、コロナ禍に対応をすることができました。そうして、方向転換してみたら、揺れ動きで大地に亀裂がはいって下が見え隠れするように、心の奥底がみえたのです。 

そして自分の可能性に気がついたHさんに、心の奥の自分が語りかけてきたのです。「やりたかったことを、もっと見つめて見ないか?」

奥底の自分とは、子供の頃からの純粋な気持ちです。純真で神聖なこころ。実は、画家はこれを聖域として自覚しています。ピカソがアトリエに入る時に「イスラム教徒がモスクに入るとき靴を脱ぐのといっしょだよ」と言ったのは、それです。

普段私たちは、利害や損得を考えながら生活しています。そうでなければ、仕事も成り立ちません。

一方で、利害や損得だけではストレスが溜まります。それを根本から癒すのは、心を洗い流すような純真無垢なエネルギーです。画家はみな、それを知っているので、その自分に向き合って絵を描こうとするのです。

私はオーダー絵画で、その人の想いを描きます。だから、その人が『純粋な自分に触れるにはどうしたらいいか』を10年以上考えてきました。そして、実際にセッションすると‥‥、不思議なことが起こりました。心に触れるような話をすればするほど、その方の頭の中の断片がつながるのがわかってきたのです。

だからオーダー絵画のためのセッションで、自分の軸を見つける手伝いをするようになりました。テクニックではなく、画家として【自分の奥底を覗き込もう、向き合おう】と筆をとり続けた年月‥‥。そこから得られた体感のようなものが、クライアントに伝わるように感じます。

Hさんは「思いつくままに言葉に出すことで、物事が整理されるのを感じました。誰にでもできることじゃない、門間さんだから出来ること。だから価値のあるセッションなのですね。自分の中に答えは既にある、とはよく言いますが、ちらかった断片からそれを見つけるのは一苦労。それを一緒に閃きとともに見つけていく作業がとても楽しかったです」と、霧が晴れたように晴れ晴れとした笑顔になりました。

「アイデアをいただいて、これまで同じようなことを言われてもピンとこなかったのが、『そうだ、これだ!』と腑に落ちるマジックな流れ。ただの言葉ではなく肉となるのを感じました。得たものを一言でいうと、【やる気】ですね!何かやらないと足りないのはわかるけど、具体的にみえない。そんな状況でしたが、具体的な提示にエンジンがかかった感じがしました。」

その後のHさんは、オーダーを通じて変化していきました。

「仕事の上で、軸として拡大発展させていきたいものが、ますますハッキリしてきました。バラバラだったものを再構築する。なかなか骨の折れる作業ですが、自分のことなので楽しいです」

セッションを重ねる中で、絵は構想から下絵、そして本画へと発展していき、Hさんの心の軸もさらにはっきりと変化していくのですが、それはまた別の物語です。

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