絵を描き始めるときに、ふーっと深呼吸します。
絵を前にゆったりと息を吐く。
すると、意識がす〜っと下がります。気持ちが落ち着きます。
そこから、絵を描き始めるのです。
私のオーダー絵画を手にした感想に、「絵を見ると落ち着く」が多いのは、呼吸を整えているのも理由の一つかもしれません。
絵は不思議なもので、絵に込めた気持ちが伝わります。
「よく分からないけど、落ち着く」
「不思議とゆったりする」
など、よく言われます。
絵に向かう時の穏やかな呼吸が、作品にも伝わっているという気がするのです。
そういう感想をいただく中で、
呼吸を意識するのは、『幸せにつながる瞑想だ』と書かれた本に出会いました。
マインドフルネスを欧米に広げたティク・ナット・ハンの本です。
とても簡単で、すぐできる呼吸法なので、紹介します。
「自分の吸う息と吐く息を最初から最後までしっかりたどる。
そうすると思考が働かなくなるので、
考えることをやめて、心を休ませることができる。
さらにこの時軽く微笑めば、顔の筋肉を緩めることができる。
無理に呼吸しない。息が短くても、それで良い、
穏やかでなくても、それで良い。
流れを遮ったり、無視したり、こちらから働きかけることはしない。
ただ呼吸に気がついているだけで、
1〜2分続けると、
呼吸の質は、自然に向上する。
穏やかで調和のとれた呼吸になる。」
微笑みながら、からだを感じて心地よく呼吸する。
とっても簡単です。
今回選んだ作品は、淡く優しいピンク色の抽象画。色彩心理では【ピンク瞑想】という考え方も提案されています。よかったら、絵を見ながらゆったりと深呼吸を楽しんでみてください。
昨秋から都立大の研究生になって、呼吸の科学的アプローチも気になるようになりました。
そして、調べると‥‥、何種類もあるのです!
単純な1つ、10秒呼吸法を紹介します。
血圧のMayer波や脳のデフォルトネトワークの周期が10秒であることから、
生体には10秒のリズムがあり、それを呼吸で伝えると体が正常な状態にリセットされるという考え方。
朝昼など活動するときは、5秒吸って5秒吐く。
寝る前や不安の強いときは、4秒吸って6秒吐く。
一回につき5分が目安です。
他にも、8秒かけて吸って8秒かけて吐くとか、
1分やれば良いとか、
一体どれが正解なのだ???
と言いたくなるほどたくさんあります。
しかも、科学的アプローチは、「これが最新です」というのが次々と出てくるで、一番新しいものがいいのかな?という気がしてきてしまいます。
しかし、研究室のゼミに参加するようになって、細分化された研究の中で、ディスカッションを重ねて科学的な答えが出てくるのを知りました。研究によって前提などが違うので、答えも違ってくるのです。
科学から得られた答えを鵜呑みにしない。
自分で感じて考える。
この姿勢が大切なのです。
私自身は、20代の頃に体調を崩して呼吸法を日常に取り入れ始めました。その時は、8秒吸って8秒吐くように数えていました。そして、実際に体調がよくなりました。
今、絵に向かうときに数えることはありません。
心地よい感覚を感じながら深呼吸するだけです。
どんな方法でも、自分自身に効果があれば、それが正解。
そして、自分が整えば、あなたの周りにいる人にも、その落ち着きは伝わっていきます。
今のあなたのための、素敵な方法が見つかりますように。