『融合 構想画3→構想画4へ』個人の深層的多様性(ダイバーシティ)に目をむける|会社のリブランディングのために依頼したOさんの場合

多様性、ダイバーシティ。この言葉にあなたはどんなイメージを持っているでしょうか。

「多様性のある社会をつくろう」「多様性を尊重しよう」自分が関心を持っていてもいなくても、最近は、日々ネットやテレビなどで目や耳に入ってくるようになりました。

そもそも多様性とは、オックスフォード英語辞典によると、「互いに非常に異なる多くの人や物の集まり」と定義される。例えば、いろいろな生物が地球上にいることは「生物多様性」。

一方で、わかりにくい、しかし大切な多様性があります。例えば、考え方や価値観といった個人の内面的な特徴は、「深層的多様性(深層的ダイバーシティ)」と呼ばれます。

表層的多様性(表層的ダイバーシティ)には、性別、人種、国籍、年齢、SOGI(性的指向・性自認)、障害の有無などがあり、

深層的多様性(深層的ダイバーシティ)には、価値観、宗教、経験、好み、教育、コミュニケーション、関係性などがあると言われます。

物事の捉え方や価値観は環境や時代にも影響を受けるので、表層による違いは、深層を生む要因とも考えられます。しかし、例え一つの家庭に育った兄弟でも、わずかな年の差など少しの表層の違いが深層に大きな影響を及ぼす場合もあるので、一人ひとりの表層と深層を丁寧に照らして接することが大切です。

【対話できる絵画】という特殊なオーダー絵画では、セッションと絵を通じて価値観や経験などの深層が表層に浮かび上がってきます。

私たちの内面や人間性は、出会った人、知識や経験などのインプットによって形作られて行きます。さまざまなインプットを繰り返しているから、誰もが内面にもいくつもの側面があります。

いろんな側面を持ち、一人の人間の中に多様性があることで、私たちはさまざまな人と共感できる反面、考えやまとまらなかったり、モヤモヤしたり、何か違和感を感じることもあります。

以前の記事では、何かモヤモヤするなどの違和感を大切にすることが重要だとお話ししました。

個人の中にある多様性を豊かな大木の枝葉と例えるならば、違和感は、枝葉が繋がった太い一本の幹をたどって、どんな軸を成しているのかを知る手がかりになるからです。

私が描くオーダー絵画の構想画が、一枚一枚変化していくのは、さまざまな枝葉を辿りながら一歩ずつ幹へとたどっていくプロセスにも例えることができます。

会社のリブランディングに関連して、オーダー絵画を依頼したOさんは、虹の絵の構想画を何枚も眺めながらセッションを重ねるうちに、虹の下に人がいるイメージが浮かんできました。会社で大切にしている「明日を拓く人」のイメージです。会社で大切にしている価値観である多様性の原点として家族像を描くことに決まった後、アトリエで描かれた絵を、次のセッションで見て感じた違和感。

それを手がかりに「なんでもいいので、言葉にしてみてください」と促して、Oさんの思い浮かぶことを共有していくうちに、「手を繋いでいるのが、大きな違和感なのだ」とわかってきました。

「自分にとっての会社の多様性は、一人一人が個で立つイメージなのだ」心の奥深くに眠っていた、多様性に対する明確な《価値観》が浮かび上がってきたのです。

調和や協力は大事だけど、プロフェッショナルとして個で立つ主人公イメージが、会社で大切にしている明日を拓く人のイメージなのだと。

最初に言葉だけのセッションから出発して、浮かんできた虹。その虹の絵を次のセッションで見ながらセッションしていくうちに、心のうちから浮かんできた家族像。深層にあったものを絵という形で表層に浮かび上がらせることで、虹の中に一人一人が独立して立つ価値観を表す個の存在を、尊敬して信頼することで繋がり合う世界が、浮かんできました。深層にあるものは、玉ねぎの皮を向くように、ひとつひとつ核心へと近づいていきます。

会社のリブランディンのために、とことん自分と向き合って自分自身を深掘りしたいと考えるOさんは、さらに次の深層に足を踏み入れます。光の先に飛んでいく開放と挑戦のイメージが浮かんできたのです。さらに、前の2人が、応援しているようだったら、と、Oさんは思いました。

セッションと絵の積み重ねで、まだまだ絵が変化していくのですが、それはまた別の物語です。

関連記事