【憧れ】を絵から紐解いて、理想を呼び寄せる絵を創り出する秘密

「ヨーロッパの素敵な絵画への憧れは、実は、日本への共鳴だったのがわかった」というオーダーがあります。【憧れ】をてがかりに、本当に自分がなりたい姿をイメージできたのです。

あなたは、【憧れをパワーに変えるコツ】を知っていますか?

誰でも、憧れの人やものがあると思います。「ああ、この人っていいなぁ」「こんなふうになりたいなぁ」という、憧れ。憧れの人に元気をもらったり、励まされたりした経験を、あなたも持っていると思います。

憧れを、上手に紐解くと、人生を大きく変える力になり、人生が加速します。

Oさんは、ミュシャという画家がとっても好きでした。中でも、ポスター作品に強い憧れを持っていました。「あのモダンレトロの世界観がいい」と、目を輝かせて語りました。

それは、Oさんの3枚目のオーダーの時でした。「オーダー靴サロンに、絵を飾りたいと思っています。実は、どんなイメージがいいのか、わかりません。でも、理想のお客様がきてくれる絵。従業員も、自分も、理想の姿になる絵。そんな絵がほしいと思います」と依頼されました。

一見、開運の願掛けにも聞こえますが、Oさんは、努力の人です。実際、サロンも、自宅の一角からコツコツと実績を重ねて大きくしてきました。だから、この言葉を聞いて、それは、「憧れを実現する自分」を映し出したいからなのだな、と、感じました。

その人の言葉の背後を読む。掘り下げて考える。それが、ビジョンクリエイターの役割です。

だから、Oさんの憧れについて質問したら、ミュシャの話が飛び出してきたのです。オーダー絵画を依頼するときに、憧れの絵が浮かんでくるのは、ごく当たり前のこと。

それを今度は、画家が分析します。分析というのは、ミュシャの絵がどんな作品で、どんな人で、どんな時代に生きたか、というだけではありません。なぜならば、作品の核は、そこにないからです。その核の部分とは、色の意味、形の意味、構図の意味、など‥‥、画家が扱う専門的なメッセージです。

分析のため、Oさんに詳しくお話をお聞きすると、ポスター作品の平面性に惹かれているのがわかりました。ミュシャには奥行きのある作品もあるのですが、あまり好きではなかったのです。

この時、ミュシャへの憧れの奥に、日本への共鳴があるのが紐解けました。ミュシャを通して、Oさんは、日本の思想に共鳴していたのです。

実は、ミュシャは浮世絵などジャポニズムに影響されたアールヌーボーの流れの中の画家。そして、ポスターはアールヌーボーの様式がはっきり現れて、平面的です。平面的な画面処理のために、写実的絵画からすると、間違いがたくさんあります。でも、平面的な表現は、日本の思想の結晶です。

日本の思想。振り返ってみれば、和の文化や、八百万の神を認めたりすることは、有名です。また、江戸時代では、主人の命令に使用人は盲従するのではなく、身分の中にも自由がありました。

いろんな個性や、いろんな視点を認めることは、日本の絵に反映されました。表現すると、バラバラな視点になるので、自ずと平面的な作品になるのです。

つまり、Oさんが、「ミュシャのポスター(平面的)作品は、好きだけど、もっと写実的(立体的)な作品は好きじゃない」といった時。そこには、「関わる人たちが個性豊かに輝く世界を創り出したい」という想いが隠されていたことになります。

憧れの根っこにあるものを辿ると、あり方そのものまで、たどり着けます。根っこにあるものがはっきりすると、実際、どのように行動するのか、そのビジョンもはっきりしてきます。そうすれば、「理想のお客様」「理想の自分」に向かうための具体的な行動も見えてきます。

Oさんの世界観が反映した絵が完成した時、

「大人の女性は自分を客観視できる賢さをもち、祈りを大事に生かされている謙虚さを忘れないものだ、と絵を見てイメージできます。また、絵の中央のバラは、循環を表して、平和の象徴です」と、言葉ではっきりと言い表しました。

そして、数年経って、「あの時、理想と思っていたものは、みんな実現しました」と、さらなる夢に向かって進んでいます。

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